・SPORTS BRAKE KIT(GC8) (Prodrive)

 レガシィはBL/BPにモデルチェンジしてから、ブレーキが良くなったと言われています。先代のBE/BHよりもキャリパーとローターがサイズアップしたことがその理由ですね。
 街中や峠で走っていて、制動力に不満を感じることはありませんでしたが、ペダルタッチの甘さ・ローターの耐久性の低さ・見た目の悪さなど不満がない訳ではありませんでした。
 ペダルタッチやローターの問題は、パッドブレーキホースローターを社外品に交換することによって改善することが出来ました(全てもらい物でしたが・・・)。
 しかし、ペダルタッチはもっと硬い方が好みだし、穴あきローターで見た目は良くなったものの、キャリパーの格好悪さは相変わらずでした。
 キャリパーのモディファイとしては、GDBのbremboを取り付けるのが定番ですが、純正ホイールが使用できないと言う問題があります。


 そんな中、運命の出会いを果たすことが出来ました。
 そのお相手がコレ。Prodriveのブレーキキットです。GF8Eに乗っている頃から憧れていました。
 本来はGC8専用のブレーキ・キットですが、歴代レガシィにも装着可能であり、純正ホイールが使用できます。
 とあるショップで長年に渡り買い手が着かずに放置されていたようです。
 処分品と言うことで信じられない値札が付いていました。


 なぜ「長年」かと言うと、ロゴに注目して下さい。
 左写真が今回入手した処分品、右写真が一緒に展示されていた定価品です。
 この処分品のロゴは古いタイプで、WRCの写真を見ると2000年前半まで使用されていたようです。
 GC型のインプが強かった頃のロゴですし、古いタイプの方が力強くて僕は好きです。
 Prodriveにメールで質問したところ、このタイプのキャリパーは3年前(2004年までってことか?)まで製造されていたとのこと。
 と言うことは、僕がGF8Eに乗っている頃から僕と出会うのを待っていてくれた訳ですね。
 今まで待っていてくれて、ありがとう!


 さて、ProdriveのHPによると、メーカーの謳い文句は以下の通りです。
 「コンペティションの世界で非常に高い評価を受けているアルコンが、WRCをはじめとする様々なレースで協力関係にあるプロドライブと共同開発した日本向けのブレーキシステム。
あらゆる条件下で安定した性能を発揮させるために、イギリスやギリシャなど外気温の異なるところでテストを繰り返し、さらに日本向けに時間をかけてセッティングしスペックを決定している。
このため、ブレーキパッドもアルコン製ではなく、あえて日本の風土にあったフェロードを使用するという徹底ぶり。目指したものは強力な制動力ではなく、バランスの取れた制動力。ペダルの微妙なタッチにもリニアに反応し、ドライバーの意志通りのスピードコントロールを可能としている。」

 中身はアルコン製ですよ!アルコン!!
 WRCでインプレッサが装着していたブレーキメーカーですね。tara号には勿体ないくらいの品です。
 アルコンのHPを見ても同型のキャリパーは見当たりませんでした。この型は市販されていないのかな?
 フェロードは正直なところ初めて耳にするメーカーです。聞くところによると、数十年前にはbremboよりも有名だったそうですが、ヨーロッパでは今でもメジャーなメーカーなのでしょうか?


 セット内容は、キャリパー、ブラケット、ブラケット固定用ボルト、パッド、パッド固定用板バネ、キャリパー位置調整用シム、ローターからなります。


 このキャリパーは2ピースで、フルード・ラインは外付け型です。
 ちなみに、GDBのbremboのラインは内蔵型ですね。
 外付け型はブレーキフルードの冷却に有利ですが、走行中に石等によって破損する可能性があります。
 内蔵型は逆に冷却の面では不利ですが、破損の危険性はありません。
 僕はダートやサーキットを走るわけではないので、この点はどちらでも構いませんが、見た目としては外付け型の方がメカメカしくて好きです。
 ピストンは異径4ポットで、上が40mm、下35mmです。ダストブーツは装着されていません。
 ダストブーツが装着されていないため、よりダイレクトなペダルタッチが期待されます。
 シルバーに塗装されていますが、被膜が薄くてあまり強くないような気がします。


 先程書いたように、ブレーキパッドはフェロード製とのことですが、それを示すようなマーキングはありません。
 その代わり、Prodriveの文字がプリントされています。格好イイ!

 右写真は純正パッドとの比較。上がProdrive、下が純正です。
 純正の方が横幅があるように見えますが、これは純正はシムが付いているために浮き上がっているためです。実際には横幅は同じです。
 面積は殆ど同じですが、Prodriveの方が下側で弧を描いている分小さいようです。
 純正パッドってデカかったんですねぇ。と言うよりは、Prodriveが意外と小さいと言うべきか?


 こちらはGDB用bremboとの比較です。
 bremboの方が大きいです。Prodriveは元々は車重の軽いGC用のキャリパーですから仕方ないかも知れませんが、ちょっと悔しいかも・・・。Prodriveは、ビッグキャリパーの範疇に入るのかな?
 キャリパー本体もパッドもbremboの方が大きいのですが、オールアルミ製のbremboに対してProdriveはブラケットがスチール製のため少し重いです。
 とは言え、純正のキャリパーに比べたら、Prodriveの方が遥かに軽いです。

 そう言えば、純正キャリパーとの比較写真を撮るのを忘れた・・・。


 キャリパーの取り付けには、このゴツいブラケットを使用します。
 剛性の面では、GDBのbremboのようなブラケット一体型の方が有利と思われます。
 GC8専用品とはいっても、キャリパーの設計段階で汎用性を持たせる必要もあったでしょうから仕方ないですね。


 ローターはこのブレーキキットの専用品ですが、リヤ用のローターは設定されていません。
 ローターの直径は330mmです。ちなみに純正の直径は315mmです。
 右上写真は純正ローターとの比較です。大きさの違いが分かるでしょうか。
 参考までに、他の代表的なブレーキキットに付属するローターの直径は以下の通りです。

  GDB用 brembo: 326mm
  K2 GEAR: 330mm
  ENDLESS: 332mm
 bremboよりもほんの僅かですが大きいようです。
 パッド面積が純正とほぼ同じでも、ローターの更に外側を内外均等な力で掴む事になるわけですから、ブレーキの効きは向上するはずです。

 スリットは一般的な直線ではなく、曲線を描いています。

 ローターの内側にはバランスウェイトが付いていました。


 前置きがかなり長くなってしまいましたが、それだけ、このキャリパーに出会えたことの喜びが大きいという事で、許してやって下さい。
 では、取り付けに入ります。
 作業に際しては、Prodriveのinformationを参考にしました。


 これまで使用していた、純正キャリパーとDBA クロスドリルド ブレーキローターの組み合わせです。
 穴あきローターは目立つので、コレはコレで格好良かったんだけど・・・。
 灰色のキャリパーは色気がないし、パッドのシムが塗装が剥げてしまい見窄らしいですね。

 先ず、キャリパーとローターを外します(外し方はこちら)。


 無加工の状態でローターを取り付けると、バックプレートが干渉してしまいます。
 informationに従って、バックプレートを内側に押し曲げてしまいます。
 タイロッドが裏側にある部分では上手く曲げられないので、ハンマーで叩いて干渉しないようにしました。


 ブラケットを取り付けます。
 これに先立って、システム全体を仮組みしてキャリパーとローターのセンターが合っているか確認します。
 センターが合っていない場合は、付属のシムをブラケットとハウジングの間に挟んで調整します。

 純正のキャリパーはハウジングの表側に取り付けられ、ボルトは裏側から挿入されています。
 これに対して、Prodriveはブラケットをハウジングの裏側に取り付けられ、ボルトは表側から挿入します。
 すなわち、Prodriveは純正よりも内側に取り付けられるようになっています。このお陰で純正ホイールに対応できる訳ですね。


 ローターを取り付け、キャリパーをブラケットに固定します。
 パッドをキャリパーに取り付けます。
 対向キャリパーはパッドの出し入れが楽だから好きです。


 ブレーキホースの基部がキャリパーに干渉するため、informationに従って取り付け角度を変更します。
 しまった!ブレーキホースの写真を撮るの忘れた!!

 ブレーキフルードはENDLESSのDOT4に全交換しました。
 交換作業は「HE-RO」さんに協力していただきました。
 作業内容については、ここで解説できるほど理解を深めていないので割愛します。


 タイヤを取り付けて作業完了です。ブレーキシステムがホイールいっぱいに詰まっているのって格好イイなぁ。と感じた瞬間でした。
 スペーサーを使用しなくても純正ホイールを履くことが出来ます。
 ホイールとキャリパーのクリアランスは約5mmです。


 インプレッションです。
 大きな違いは、制動の立ち上がりの違いです。
 純正ではペダルストロークの奥の方でグッと効く感じですが、Prodriveはペダルストロークの手前、踏み始めから効きます。
 僕の個人的な印象としては、純正がペダルを踏む力でコントロールするのに対して、Prodriveは踏み込む量でコントロールする感じです。
 スバルのブレーキに慣れた僕にとっては、初めは違和感がありました。
 とは言え、カックンブレーキになることはなく、ペダルストロークの手前から奥まで使うことが出来ます。懐が深くなった様な感じです。
 ペダルタッチは剛性感が上がりました。どこまでも踏み込めるような、「フニャ」っとした感じは皆無です。
 ペダルタッチが向上したお陰で、安心感が増しました。
 ブレーキダストはそれなりに出ますが、鳴きはありません。

 Prodriveのロゴと相まって、非常に満足のいく一品です。

 キャリパー交換の際に問題視される前後バランスですが、リヤのパッドは既にCoto SportsのNAと言う初期制動力を重視したパッドが入っているので、しばらく様子を見ようと思っています。
 見た目のことを考えると、インプレッサの対向キャリパーをシルバーに塗装して装着すると良いのかも知れませんが・・・。






 








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